議会改革ブレークスルー10の法則

2014.03.17 Monday

JUGEMテーマ:地方議会

議員定数の削減、
報酬の削減、
政務活動費のカットは、
議会改革でもなんでもない!


まず、地方議会改革を本気で考える
現職の地方議員の皆さんには、
月刊ガバナンス3月号に記載された
北川先生、江藤先生、廣瀬先生の鼎談企画
「二元代表の一翼として、
 民意を政策につなげられる能力を
 〜地方議員に求められる資質とは〜」
を読んで熟考していただきたいと思います。


◆そもそも、
 何故、いま地方議会改革なのか?

 昨今、Googleで
 「議会改革」と検索すると

 約70万件前後ヒットする。
 (10年前は5〜6万件程度だった)
 このような変化だけでも、
 隔世の感を禁じ得ないのだが
 「議会改革」関連のセミナーや研修会には
 定員を超える申込みが殺到することからも、
 いま全国の地方議員の間では、
 「議会改革」がトレンドであると言える。


 しかし、議会の改革は、
 目的ではなく、手段である。

 議会改革のことを語る前に、
 そもそも
 「議会改革とは、何なのか?」
 「議会が活性化すると市民にとっ て、
  どんな良いことがあるのか?」
 という考察をする必要がある。

 さらには、
 「議会制民主主義とは、何か?」
 再検証しなければならない。

 「市民と議員の条例づくり
  交流会議2012」の基調講演の中で、
 法政大学 法学部の廣瀬克哉教授が
 「議会改革のアウトプット(取り組み)
  =
“議会改革が進んだことで、
   何が変わったのか?”
  は見えてきたが、
  アウトカム(成果)
  =“それが成果として、
   何を生み出したのか?”
  が見えてこない」
  という主旨で
 「議会改革の成果を念頭におくべき
  時期が来た」と言及された。

 民意を反映する場である議会の真価が、
 問われる時代となったのではないか。
 地方自治の目的は
 「住民の福祉の増進」である。
 日本国憲法や地方自治法に照らして
 考えれば、地方議会とは
 『選挙によって選ばれた
  市民の代表である議員の集合体で
  民意を反映する場であり、
  行政における最高の意思決定機関』
 ということになる。

 このことを踏まえたうえで、
 議員から見た地方議会改革の成果は、
 以下の2点となる。

 1. 議会や議員の政策マーケティング
   能力が強化され、民意を反映した
   政策デザイン力が向上する。
 2. 他市議会等からの視察が増える
   流山市議会視察受入れ件数:
   33件/ H23年度
   70件/ H24年度
   ことにより地元経済が活性化する。
   さらに視察対応の説明員を
   議員全員が交替制で務めた場合、
   議会全体としての底上げにつながり、
   議会内における議会改革への理解が、
   よりいっそう深まる。


◆議会改革の先にあるもの
 「市民に開かれた信頼される議会」
 を目指すことに よって、
 議会の情報公開(見える化)や、
 議会への市民参加が促進される。
 そうなると、
 議会や議員も「民意」に対する
 洞察力が強化される。
 その結果、
 議会の最も重要な使命である
 「民意を反映すること」
 のクオリティーが向上していく。
 他方で、
 市民から見た地方議会改革の成果は
 「議会改革が進むと、
  自分たち(市民)の意見が
  市政に反映されやすくなり、
  自分たち(市民)にとって、
  より住みやすい街になる」
 ということではないか。


◆議会改革≒自分改革
 議会改革というと、
 「自分は、
  こんなに良い提案をしたのに、
  議会がOKしてくれなかった。
  うちの議会(議員)はダメだ。」
 的な発言をする方々が、
 議員や職員、市民に限らず、
 多くいるが、逆に言えば、
 自分の提案が、
 議会(議員)を説得する域までに
 達しなかったのだ!ともいえる。
 つまり、

 『議会改革≒自分改革』なのである。
 

◆議会改革ブレークスルー
 10の法則

【Method1】
 議会改革は
 議員同士のコミュニケーション改革。


 主義主張や方法論が違っていても、
 「自分たちの故郷を
  より良くしていこう!」
 という思いで選挙を戦って、
 有権者から選ばれた人たちなのだから、
 ひとつになれる。
 という信頼ポイントを置いて、
 まずは、
 会派党派を超えた一人の人間同士。
 という関係を創り上げる。
 また、五感を開いて、相手をよく観察し、
 相手議員の本音と建て前を、
 しっかりと見極める。
 “子曰、視其所以、觀其所由、察其所安、
 人焉捜哉、人焉捜哉”
 論語 為政第二
 [読み下し]
 子曰(しのたま)わく、
 其(そ)の以(な)す所(ところ)を視(み)、
 其の由(よ)る所を観(み)、
 其の安(あん)んずる所を察(み)れば、
 人(ひと)焉(いずく)んぞ廋(かく)さんや。
 人焉んぞ廋さんや。
 [通釈]
 孔子云う、
 「一にその人の行為を
   よく注意して視(み)る。
  二にその行為の拠って来たる
   原因・動機を観(み)る。
  三にその人がどんな所に安らぎを
   求めているかを(み)察る。
  この様にすれば、
  その人の正体は
  すっかり分かってしまうものだ。
  どうして隠せようか」。


Method2】
 地方議会に関わる法律
 (主に日本国憲法や地方自治法)や、
 仕組み(議会制民主主義、二元代表制等)
 を正確に理解して自分自身の腹に落とす。


 自分自身が勉強して得た知識を、
 他の議員にひけらかすような態度は、
 おくびにもみせてはならない。
 議員同士で議会改革の議論や
 自由討議をする際には、
 あくまでも淡々と論理的に議論をする。


Method3】
 議員全員対象の研修会を企画して、
 大学教授などの学識経験者から、
 語ってもらう。


 法律を紐解いてみれば、
 民主主義とは主権在民であり、
 市民に開かれない議会などあり得ない。
 ということが理解できる。


 しかし、
 このことを議員が議員に対して解いても
 うまくいかない。
 だからこそ、
 大学教授をはじめとした学識経験者に
 代弁してもらう。


 さらに、
 議会改革を推進するためには、

 二元代表制ということが、
 (執行機関と議事機関=対等・協力)
 議員ひとりひとりの腹に落ちている
 状態でなければならない。

 講師選定の基準は、学識だけでなく、
 地方議会の実態も御存知かどうか?
 「あの先生は有名だから」とか
 安易な基準で講師選定をするのでは
 うまくいかない。

 講師の先生には、
 自分が所属する議会の問題点や
 課題について、
 予めレクチャーしておいて、
 講演後のゴールイメージを

 講師の先生と共有しておく。

Method4】
 議会改革先進地に議員個人や会派単位で
 行くのではなく、
 議会運営委員会や議会改革特別委員会等、
 議会の委員会として行く。


 視察後、
 「良かった」とレポートを提出し、
 ブログや会報誌で、
 報告をして
終わるのではなく、
 委員会で振り返りの会議を開催する。

 「うちの議会で実現するには」
 という観点で、
 議員同士で前向きに議論をし、
 アクションプランにまで
 落とし込めなければ、
 いつまで経っても改革は前に進まない。 


Method5】
 議員(個人)の活動と、
 選挙のための活動、
 会派の活動、
 議会の活動の棲み分けを明確にする。


 個人プレーで目立てば、
 選挙には強くなるが、
 議会改革を牽引する存在にはなれない。


Method6】
 自分の手柄にしない。


 議会は合議制の議事機関。
 過半数の同意を得ることができなければ、
 様々な施策を実行に移すことは不可能。
 たとえ自分が発案者であったとしても、
 「自分が実現しました」とか言って、
 メディアに自分が登場するのではなく、
 先輩議員やキーマンとなる議員に、
 手柄を譲る謙虚さとしたたかさが必要。
 委員長ポストについているなどの関係で、
 自分が前に登場せざるを得ない場合でも、
 協力や賛同してくれた委員さんたちを、
 公の場で心から労う配慮は必要不可欠。


Method7】
 議員同士の議論の様子を公開中継する。


 例えば、USTREAMであれば、
 初期投資は、ほぼかからない。
 流山市議会の場合は、14500円

 議会改革に反対する議員に限って、
 意外と有権者の目を気にする傾向がある。
 議論の様子をライブ中継することで、
 カメラの先にいる有権者を気にして、
 非建設的な発言をしなくなる。


Method8】
 議会内で合意形成できたものは、
 決議等で議決をして機関決定する。


 議決して機関決定をすることで、
 決めたことに重みが増していく。
 俗にいう申し送り事項では、
 改選後に本当に申し送られるだけで、
 これはアクションにつながらない。


Method9】
 議会事務局を味方につける。


 議会事務局のサポート
 (特に法制面)がなければ、
 議会改革の推進はない。

 議会事務局のスタンスは、
 実現できない理由を並べるのではなく、
 どうすれば、
 「障碍を乗り越えて実現できるのか」
 までを議員に提案することであること
 を理解し納得してもらう。


Method10】
 議会基本条例を制定する。


 流山市議会の場合は、
 「議会基本条例を制定するのだ!」と、
 当時の議員全員で決めたことによって、
 Method1〜10まで
 全てのことが実現可能となった。
 と言っても過言ではない。

 「議会とは何か」
 「議員とは何か」
 「改革の先にあるものは何か」
 などなど、
 時には職員や学識者にも
 サポートしてもらいながら、
 まずは議員同士で
 トコトン議論を重ねることで、
 「市民に開かれた議会」
 を目指す風土が醸成されていく。

ここまで来たら、
次のフェーズ(段階)は、
市民を巻き込んだ議会改革。
“プロダクトアウトからマーケットインへ”

コンシューマーインサイトへ”

議会報告会を開催し、
議員個人としてではなく、
議会として街に出て市民の声をよく聴く。
議会のホームページやSNSを充実させ、
市民からの声を、
タイムリーに吸い上げていく。
議会主催の公聴会や、
参考人制度、無作為抽出型のアンケート等
打つ手は無限にある。


顧客(市民)の声を、
商品・サービス開発(政策)に、
反映させるのだ。

つまり、
市民の声を聴きっぱなしではなく、
フィードバックやアウトプットもして、
よい提案は市政に、
どんどん反映させていく。

その先に新次元の民主主義を
実現する光が見えてくるはずだ。

地方議会は、
市民が「見たくなる議会」へと
変貌を遂げていかなければならない。

 

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 ★メディア掲載実績


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